アイツ限定




「俺?」



村上は、なんでって顔してる。

あたしと明日香は顔を見合わせて、もしかしてって、明日香が口パクで言って来る。

あたしはそれにうなずいた。



「そういやぁ~……東出さ、今日はやたら俺につかかってくるんだよ。……理系のクラスにまで来て……もしかして俺に気が合ったりして……。」



そういって、本田はにやりと笑う。


千夏が、本田を好き?

それなら、アポロンってことはガセネタ?




「ふーん。俺には関係ねぇな。」



そういって、隣の村上はパンに食らいつく。




「でもさ……聞いてくることはお前のことばっかなんだよ。いくら、俺のことを聞き出すのが恥ずかしいからって、お前のことをネタとして使ってくるのはどうかと思うぜ……なぁ?」



そういって、本田はあたしたちに、話をふってくる。


この男…どんだけポジティブ思考なわけ?

絶対に千夏は、村上が、この目の前にいる本田と仲がいいことを知って、いろいろ聞き出そうとしているんだ。

千夏の戦略はもう始まっている。

千夏は……アポロン。


明日香もそれに気づいたようで、あたしを見てうなずいてくる。