そして、空き教室に着くと、そこら辺にあった机を向い合せて座る。
「で、何?マリわかったの?アポロン。」
明日香は、弁当の包みを開きながらあたしに問う。
あたしも、弁当の包みを開けた。
「わかった。あたしさ、昔ばぁちゃんに、菫の花言葉の由来きいたんだよ。
そこで出てくる、イオって言う娘とその許嫁の仲に入ってこようとするのが、そのアポロンていう太陽神。
もし、皆が千夏に言っているアポロンが、その太陽神アポロンなら、きっと千夏は横恋慕する奴ってことになる。」
「ふーん……。やっぱりね……。私もね、ちょっと授業中調べてみたの。
アポロンの性格は、理性的。しかも、冷酷で、残虐。あんまりいい情報はなかったな。」
「もしかして、明日香授業中携帯見てたわけ?」
「うん数Bなんて、聞かなくても楽勝だし。ベクトルなんて、教科書見ればわかるっての。」
明日香はそういうと、弁当のウインナーを箸でつまんで口に入れた。
明日香は、どっちかっていうと、理系。
だけどあたしと同じ文系クラス。
だから、なんで、理系クラスに行かなかったのかって聞くと、数学と理科が、難しくなって、点数が取れなくなったら、私はつぶれちゃうもんって言ってた。
明日香の言うことも一理あるのであたしは納得した。
って、こんな話よりも今は……。
「千夏の本当の姿見たわけじゃないから、今は何とも言えないんだけど。」
あたしはそういって、弁当の卵焼きを口の中へ入れる。


