「はははっ!そうかいそうかい、じゃぁ、話そうかね。
今よりずっと昔、大昔のことさ。ある国に、とっても綺麗な、イオという川の神の娘がおった。イオは許嫁、要は結婚相手ももうおった。だがな、太陽の神、アポロンが、イオのことを好きになってしまったんだ。アポロンは、イオを我が物にしようと色々してくるんだよ。それを見た、女神ディアナがイオの姿をすみれに変えてアポロンから守り、イオは無事許婚と結ばれたという。
そこから、真実の愛という花言葉が生まれたんだよ。わかったかい?」
ばぁちゃんは、はなしおえると、よっこいしょっといって、ゆっくりとたちあがった。
あたしはその場から動けず、しばらくはその菫とにらめっこをしていた。
そうだ……。
アポロンって……イオを自分のものにしようとした奴。
要は、横恋慕する奴。
それが…千夏ってこと?
あたしは、ふと隣で必死にノートをとっている千夏を見た。
アポロンがどういう奴かはわかった。
だけど、千夏がなんでアポロン?
……もしかして……。
いや、それしか考えられない。
だけど、それが本当だとしたら……今朝のあれも納得がいく。
__キーンコーンカーンコーン…
そこでちょうどチャイムがなった。
あたしは席を立って、明日香の方へ向かおうとする。


