アポロン……。

なんでこんなに気になるんだろ。



隣の千夏は、真剣に授業をきいている様子。

なんで、この子に気をつけなきゃいけないわけ?


この子がアポロンと呼ばれる理由……。

まず、アポロンってなんだっけ……。




すると、ふと、脳裏にある風景が思い浮かんだ。


田舎の風景。

綺麗な山と、綺麗な小川。


この学校も、かなりの田舎だけど、ここよりももっと田舎。



そう…おじいちゃんとおばあちゃんの家。


あたしの大好きな場所。


この言葉…確かここで聞いたんだ。




あたしは、必死に過去の記憶をたどった。




あたしがまだ幼くて、小学校2年生か3年生くらいの時だったと思う。

夏休み明日香は長期の海外旅行で、1人暇人だったあたしはお父さんに、田舎のばぁちゃんたちに顔を見せに言って来い!って言われて、連れてこられた。

始めは見慣れない景色に不安だったが、ばぁちゃんとじぃちゃんの優しさに触れて、この田舎がだんだん心地のいい空間へと変わっていった。


朝早く起きて、じぃちゃんと散歩。

朝御飯に、じぃちゃんとばぁちゃんが汗水たらして育ててくれた野菜を食べる。

そして、ばぁちゃんと、山菜取りに出かける。

その山菜を使って、一緒にお昼ご飯を作って、畑仕事をしているじいちゃんのところへ、ばぁちゃんと2人で持って行き、一緒に食べる。