ビルの間に
溶けてくオレンジ

仄かに照らされた
貴方の横顔

その隣でそっと
同じ景色を見るのは
これが最後と
自分に言い聞かせた


貴方が悪いんじゃない
悪いのは私だと

零れた涙はずるいだけで
貴方の慰めには
なりやしない



できることなら
波に任せて貴方に辿り着きたい

手繰り寄せれば
きっと
貴方は迎えてくれる
そうでしょう?

沈みゆくオレンジの
光の中で
溢れる涙をそっと
貴方にばれないように拭うの

こんな涙はずるいだけ
こんな私はずるいだけ




溶けたはずの
オレンジの名残が
空に広がる様を振り返りもせず
貴方は見ていた

そのまましばらく振り返らないでと
そっと祈り続けた


謝らなくてもいいのに
私が悪いのに


口を開く度出てくる

"ごめん"

の隠れた意味さえ愛しい



叶うことなら
光を一筋
貴方に残しておきたい

だけどそれはきっと
拒絶よりも残酷だから
そうでしょう?

満ちてくる夜の闇に混ぜて
溢れる気持ちをそっと
貴方にばれないようにぼかすの

貴方を想うのは今日が最後
貴方を想うのは今日が最後