柔い風吹く春の夕に
見つけた古い日記帳
背表紙に貼られた写真の中に
幾分記憶にあるよりも
幼い顔立ちで笑う私たちがいた
胸まで伸びた私の髪
貴方の指が絡んでる
目を細めて優しい声で
貴方は
"愛してる"
って言ってたね
解けた指の熱を頬が忘れ
優しかった声を耳が忘れ
返し忘れた数々のモノだけが
日々の端々に
消えては現れ…
消えては現れ…
枕を濡らす夜もあるけれど
面影探しの癖も抜けないけれど
あの日、あの場所で
一緒に描いた夢は
少し形を変えて
貴方の代わりに私を導く
もしもまた、
いつかまた、
逢う日が来たらその時に
互いに忘れた声で教えあうの
誰かと描く、貴方の未来
それから
あの日と違う、私の夢
