未設定

私、あの顔、嫌いだ。
「知らないですよー(笑)」
「何が知らないだ、あぁ?!馬鹿にしてんなよ!!!」
いや、馬鹿にはしてないけどさ。
「まずあんな恋愛小説的なカッコいいことするには隙がありすぎですよ(笑)」
あれは、左腕の下から潜り抜ける以外にもいっぱい逃げる選択しあったと思うし!
「左腕の下がスコスコだったんで潜り抜けただけじゃないですか」
「…潜り抜けた「だけ」だと…?!俺から逃げることがあとからどれだけで返ってくるかわかってやったんだろうなぁ?!」
「いやそんなのわかってるわけないじゃないですか。まず一人で壁に向かって「こうしちゃぅ「やめろ!!!それはやめろ!!!!」
今いいところだったじゃん!
止めないでよ皆にバラしてやりたかったのに~。
「「こうしちゃうぞ」とか言ってるあのシーンは誰が見ても可笑しい子でしたよ」
私がそう言った途端、クラス中でヒソヒソと皆が話し始めた。
「お前、本当ナメんなよ?!」
「いや、ナメますよ。」
「あ゛ぁ?!」
あ、また怒りを買ってしまったみたい。
だって反論すべきことがいっぱいあるんだもん!
「そんな隙ありすぎる人間、誰にナメられても仕方ないんじゃないですか?」
「っ本当、いつどうなっても知らないからな」
最後には妙に冷めた口調でそう言い放った。
そして静かに教室を出て行った。
大きなドアの音を立てて。