男の子はそう言うと絵本を閉じる。


「あれ?続きは?」



わたしが尋ねると男の子は絵本の表紙を指で指す。




「これ見て…。」




表紙には座り込むお姫様と、その後ろにはキラキラと光る色とりどりのガラス。




「これ、ステンドグラスっていうんだ。」



まっすぐと前を向く。


「あの窓も。」




目の前には光を浴びて輝くステンドグラス。



「この本のお話と同じだ…
 …この教会なんだ、きっと。」





「ねぇ…」




わたしが話そうとした時だった―






ゴーン、リンゴーン、ゴーン、ゴーン



鐘の音がなり響く。





「…もう行かなきゃ………。」




「王子は必ず迎えにくるから…。」






頭に手が触れる。



「約束。…な。」