君と夢見るエクスプレス


ぐるりとコンコースを見渡した。
人の流れは、北側へも南側へも同じくらい。ほんの少し、北側の方へ向かう人が多いかもしれない。



コンコースの真ん中に掲げてある周辺地図には、駅の南側に大きな空白が目立っている。あれが球場跡地。



これから、私たちが何か活用しようとしている広大な土地。



この駅の南側に、何かできるとしたら……



考え始めるのと同時に、ちくりと突き刺さる視線を感じた。



振り向いた先には、比較的背の高い四、五人の男女。髪の色は金色に近い茶色で、肌色が白っぽく感じられる。



何やら話しながら、こちらに向かって歩いてくる。リュックサックを背負ったり、ショルダーバッグを提げているけど、それぞれの手にはキャリーケースを引っ張って。



あれは見るからに宿泊客、というより観光客。
そして皆、欧米系の外国人。



ちょっと待って。



一気に、血の気が引いていく。



明らかに、私を目指してくる人たち。
いや、私というより駅員室を目指して。



きっと彼らは、私のことを駅員だと思い込んでいるに違いない。