君と夢見るエクスプレス


「ねえ、陽香里。今日のお昼はどうする?」
「ごめん、今日は別になるかも。姫野さんと外回りに行くから、お弁当も頼めないし」
「うん、了解。私はパン買っておくよ。もし一緒に食べれそうなら連絡して」
「わかった、時間とか決まったら連絡するね」



昨日、姫野さんが茜口駅前に出かけると言ってたけど時間は聞いていない。午前中に行くのか、午後から行くのか、それとも一日中出掛けっぱなしになるのか。



予定は全く未定だから、お昼もどうなるのかわからない。



それよりも、本当に私たちが現場に出かける必要があるのだろうか。私たちが現場に行かなくてもいいように、現場の様子を教えてもらうために橘さんをメンバーに加えたのだと思っていたのに。



現場に出るのは、ちょっと億劫だと思ってしまう。あまり好きではない仕事だから尚更。



「いいなあ……、私も現場行きたいかも」



美波がぽろりと溢した。本当に羨ましいという気持ちが滲んだ声。



時々美波は先輩と一緒に、外回りに出かけている。沿線情報誌の記事作成のため、沿線の観光スポットや飲食店などの店舗へと。



私は専ら、茜口駅周辺ばかり。
美波みたいに、いろんな場所へ行くことはない。