君と夢見るエクスプレス


どちらかというと姫野さんの方が背が高くて逞しくて、がっちり体育会系といった感じ。橘さんの方がやや細身で……チャラい。



うん、二人は違う。
きっと、性格も波長も。



だけど私の好みは、やっぱり。



「だけど姫野さん、普段はもっと飲めるんでしょ?」
「そんなに飲まないよ、橘君は明日は? 勤務があるんじゃないの?」



彼のつまらない質問を、さらりと笑ってかわす姫野さんはやっぱり大人だ。



そんなこと、見たらわかるでしょう?
普段はもっと飲めるに決まってる。体育会系なんだから。今日はどうして控えているのか、よく考えてから話しなさい。



「いや、明日は非番なんですよ。助かりました」
「そうか、いいなあ……非番か。営業部は不規則だけど、そういうのがいいよな」
「まあ、いいですね。平日に自由な時間ができるのは何かと便利ですよ」



似てない二人の穏やかな会話はさておき、私の視線はずっと向こうへと。



彼の肩越しに、阪井室長と話している笠子主任の顔が見え隠れしている。しっとりとした笑顔に、つい目を奪われてしまいそう。