君と夢見るエクスプレス


「同感、僕もそう思いますよ」



突如として、姫野さんと私の間に割って入ってきた軽い声。振り向くよりも早く、ひょっこりと橘さんが顔を覗かせる。



いかにも迷惑そうに顔をしかめる姫野さんとは対照的に、にやっと笑みを浮かべて。



お酒を飲みすぎたのか、これが本来の彼の顔なのか、わからないけどイタズラな笑み。



「お二人とも、今日はありがとうございます」



と言いながら姫野さんと私の間に体をねじ込んで、持ってきたグラスをテーブルの上に置いた。
ふわっと彼から漂ってくるお酒の匂い。



彼の居た席を窺ったら、空になったグラスがテーブルの中央に集められている。
あれじゃあ、誰がどれだけ飲んだのかわからない。



「姫野さん、もう飲まないんですか?」
「ああ、今日はやめておくよ。明日があるから」



ちょうど運ばれてきた烏龍茶のグラスを見て、彼が目をくるくるさせる。姫野さんは面倒くさそうに答えて、グラスを口へと運んだ。



なんだろう。



並んで座ってる姫野さんと彼を見ていると、知らず知らず感じられる違和感。単純に、二人の飲んだお酒の量の違いとかじゃなくて。



だったら、何?