やがて話題は私から逸れて、それぞれの田舎や家庭がメインになっていた。
ほっとしたらお酒を飲むペースが進んでしまい、いつの間にかチューハイのグラスは空っぽ。今日は控えめにしようと決めていたのになあ……
隣の姫野さんも、ちょうどチューハイを飲み終えて息を吐いたところ。すぐ傍に置いていたメニューを取り上げて、
「何か飲む? もうやめとく?」
と言いながら広げて見せる。
だけど今日は月曜日だから、そろそろやめておこう。
「じゃあ、烏龍茶をお願いします」
「よし、俺も烏龍茶にしようかなあ、明日に響いたら困るし」
「はい、月曜日ですから」
淡々と姫野さんと話しつつ、彼を囲んで盛り上がる皆へと目を向けた。
誰もが赤い顔をしている中で、とくに阪井室長の赤さは際立っている。少し薄い髪のせいか、おでこまで真っ赤で艶っぽいし、いつもの半分ぐらいしか目が開いていない。
笠子主任は、ほとんど顔色が変わっていない。仕事中と同じ穏やかで柔らかな表情で、皆の話に耳を傾けている。
どんな時も優しくて謙虚で、ちゃんと人の話を聞ける人って素敵だと思う。

