君と夢見るエクスプレス


確かに、私もそう思う。



「そう思うでしょ? 姫野さん、本当に真面目だよ」
「いやいや、そうじゃなくて。姫野さんが海老好にした理由」
「え? 駅から近いから?」
「違うと思うなあ……、陽香里が参加できるように考えてくれたんじゃないかな?」
「私? 私は関係ないと思うよ。だって笠子主任もどっちでもいいって言ってくれてたし」
「確かにね、笠子主任はどっちでも……って言いそう」
「うん、優しいから。私は補助業務みたいなものだからね」



ぽうっと浮かんできた笠子主任の柔らかな笑み。うっとりしそうになったから、慌てて首を振ってかき消した。



だって、笠子主任は妻子持ち。
どんなに憧れても手に入らないものなのだ。必要以上の感情を持ってはいけない。



「姫野さんは、そんなこと思ってないんでしょ?」
「そうみたいだけどね……、同じような仕事を割り振ってくるし、たまに無理難題を言ってくることもあるし」
「きっと陽香里に期待してるんだよ、ところで、新しく入ってきた彼とはどうだったの?」



ふいに投げ掛けられた美波の問いに、レスポンスよく浮かんできたのは彼の顔。浮かんだタイミングが良すぎて、思考がぴたりと止まる。