昨日ホテルで見た光景が蘇ってきた。
茜口駅前のホテルで見た阪井室長と笠子主任と彼と、もう一人の男性。あれはホテル側との情報の擦り合わせだったんだ。
だから、彼は嘘をついたのかもしれない。まだ本当のことを言えるような段階ではないから？
本当のことを話してもらえなかったのは、私を信用していなかったから？
ということは、もう一人の見知らぬ男性がホテルの社長だろうか。つまり、橘さんの父ということになるのだろうか。
笠子主任と姫野さんの会話を聴きながら、いろんなことが頭を巡る。
だけど、あくまでも私の憶測でしかない。真実は何なのか、ここで考えていてもわかるはずがない。
すっきりするどころか、考えるほどにもやもやした気持ちばかりが生まれてくる。
早く帰りたい。
彼に会いたい。
何が真実で、何が嘘なのか。はっきりと彼の口から聞かせて。
