「わかりました、これまで通り彼と接するよう心がけます」
「ありがとう、松浦さんも頼むよ。彼も私たちと同じ仕事をする仲間だからね」
「はい、わかりました。今後もよろしくお願いします」
私たちの返事を聞いて、笠子主任は安心したように頷く。
ところが頷いていた笠子主任が、ぎゅっと口を結んで表情を強張らせる。
まだ何か言いたいことがあるらしい。
「それと、もう一つ言っておきたいことがあるんだ」
ようやく口を開いた笠子主任の声は重い。さっきの騒動よりも、さらに言いにくいことでもあるのだろうか。
「橘君から、何も聞いていないと思うけど……」
と言った笠子主任の視線は私へと。
まるで私が知っているんじゃないかと言いたげな顔をする。
もちろん、私には何のことだか分からない。隣りに座っている姫野さんまで、疑いの目で私を覗き込む。
「私は橘さんからは何にも聞いていません。何のことですか?」
余計な疑いを払おうと、きっぱりと言い返した。
「ごめん、橘君にプロジェクトに加わってもらったのには理由がある」
笠子主任が、声のトーンを落とす。
この場の空気が、ぴんと張り詰める。

