君と夢見るエクスプレス


持参した資料を使って、会議が再開した。



だけど一時間過ぎても、橘さんと笠子主任は戻って来ない。



あのまま自販機コーナーに居るのだろうか、それとも場所を変えたのだろうか。気になって仕方ないのに、誰も二人のことに触れることなく会議は進行していく。



会議を進行するのは姫野さん。さっきの怒りを吐き出すような勢いに、参加者の発言と議論は盛り上がっていく。



議事を記録しなければいけない私は手を休める暇も無くなり、やがて橘さんと笠子主任のことを考える余裕さえ無くなってしまっていた。



午前中までの予定だった会議は、昼休みにまでずれ込んで終わった。



昼休みは、残り二十分。
事務所に戻ったけれど、やっぱり橘さんと笠子主任の姿は見えない。



気になりつつも、探す当てもなく席に着く。遅れて戻ってきた姫野さんが、どっと疲れた様子で椅子に体を預けた。



姫野さんの様子が気になる。
疲れているけど、怒っているようには見えない。だけど、黙っている空気が重苦しい。



私から何か声を掛けるべきか、さっきのことを姫野さんはどう思っているんだろう。



落ち着かない気持ちでいると、事務所のドアが開いた。