「明日は、外出の予定は無いですよね?」
「うん、明日は橘君が来るから、社内で情報の擦り合わせをしなくちゃね」



ダメもとで尋ねてみたら、姫野さんは即答。わかっていたけど、ちょっとショックだ。



外出しないなら、一日中彼と一緒に居なくちゃいけない。



そう思うと気が重くなってきて、少し浮上しそうだったのに再び下向き加減になってしまう。



「どうしたの? 何かあった?」
「いいえ、何にもないんです」
「僕でよかったら、何でも話してよ。聴くぐらいならできるから」
「ありがとうございます、また何かあった時には相談させてください」



姫野さんの親切が申し訳ないけど、きっぱりと言っておかなければ。話が変な方向へと進んでしまっても困る。



「松浦さん、最近輝いてるね」



意外な言葉を投げ掛けられて、一瞬戸惑ってしまった。今の私は下降気味だというのに、どこが輝いているっていうのだろう。



「そんなことないです」
「いや、輝いてるよ。さっき話してくれてる時も生き生きしてた」



柔らかに染みるような声が、姫野さんらしくない。先週の外出時よりもずっと落ち着いた表情の姫野さんが、まっすぐ私を見ている。