君と夢見るエクスプレス


美波と一緒に昼食を摂ることができたのは、木曜日。お互いにバタバタしていたから、なかなか会えず。



久しぶりの昼食は、休憩室で仕出し屋さんのお弁当。今日のメインメニューは海老チリだ。



「合コン、来週の金曜日に決まったの。何着て行こうかなあ……」



食べるのもそこそこに、美波が話してくれた。楽しみにしていた合コンの日程が決まって、嬉しくて堪らない顔をしてる。



「いよいよだね、お店はどこ? 何人ぐらい来るの?」
「茜口の居酒屋さん、六人って聞いたけど、全員社内の人だよ」
「よく集めたよね、他の人に阿藤さんを盗られないように頑張りなよ」
「大丈夫。みんな目当ての人は決まってるから」
「何それ? 美波と阿藤さんみたいに告白するきっかけが欲しい人ばかりってこと?」
「そう、部署が離れてて話す機会が無いから見てるだけ……っていう人とかね」



もう最初から、くっつくべきカップルは決まっているらしい。社内で気になってるけど、声をかけたり、言い出す勇気のない人たちが集まるというのだから。



「よくそんな人ばかり集めたね」



そんな内気な人たちを、どうやって集めるのかが気になるところ。思いを口に出すこともできないだろうに。