君と夢見るエクスプレス


「しばらく会えないけど、頑張ってね」
「うん、ありがとう。姫野さんに気をつけて、何かあったら連絡してよ。飛んでいくから」
「何言ってるの? 何にもないよ、心配性だね」
「俺の陽香里だから、誰にも渡さないよ」



と言って、彼はぎゅっと抱きしめてくれる。この力強さが彼の気持ちだと思うと、愛おしくて愛おしくて堪らない。



私も彼に腕を回した。
精一杯の力を込めて、抱きしめる。



本当なら、このままで引き留めていたいけど。



迷っているうちに、彼が首筋にキスを落とした。



大きな手を体に滑らせて、ベッドへと沈めて、再び私を溶かし始める。さっきよりも強く深く、気持ちをぶつけるように。



それでも、まだ言ってくれそうにない。
『付き合って』とか『彼女になって』とか。



そんな言葉がすべてじゃないけど、やっぱり気持ちの区切りとして言ってほしい。こうして抱かれていると、尚更に求めてしまう。



だって、私が求めているのは体だけの関係じゃない。



本当に私を愛してくれるというのなら、ちゃんと言ってよ。



お願い。