彼の腕に抱かれる心地よさとともに、すっかり眠り込んでしまっていた。
目を覚ますと、彼が私の頭を撫でている。彼の大きな手の感覚が温かくて、再び目を閉じると眠ってしまいそうなほど。
時間を確認しようと体を起こしたら、彼が頬にキスをしてくれる。
「ありがとう、帰るね」
「うん、明日は出勤?」
「明日は日勤、今度の日曜は休暇だから、どこか出かけない?」
「日曜日まで休暇はないの?」
「あるよ、木曜日が非番なんだ。陽香里と休みが合うのは日曜日だから」
彼の言葉に改めて実感させられる。
私たちは、基本的に休みが合わない。
本社勤務の私はカレンダー通りだから、土日祝日が休み。駅勤務の彼には、土日祝日なんて関係ない。早出や遅出、日勤のほかに夜勤も泊り勤務もあったりして不規則。
まだ、彼とは正式に付き合ってる関係じゃない。物足りなさは感じたりしないけど、こんな距離感の付き合いの方が長続きするのかもしれない。
前の彼とは二日に一度電話をしたり、頻繁に会ってたから。だから、つい余計なことまで話してしまうのかもしれない。
だったら、適度な距離感を保っていたい。
距離感を保ちつつ……
私が望むものは?

