午前中の会議が長引いて昼休みにズレ込んだおかげで、橘さんとのお昼ご飯は駅前のファストフード店に行くことに。
彼と一緒に事務所を出る時は、姫野さんの目を避けるのに苦労した。
あまり時間はないけれど、私には聞いておきたいことがある。
「どうして、あんな嘘をついたの?」
問い掛けると、彼はストローを咥えた口を尖らせる。きょとんと目を見開いて、惚けたように首を傾げて。
「だって、気に入らなかったから」
ストローから口を離して、悪びれることもなく答えた。
「気に入らない? 何が?」
聞かなくても、だいたいの予想はついていた。だけど聞いてしまったのは、私の悪いところかもしれない。
「姫野さん、どうして陽香里に絡むんだろうなあ……、ホント気に入らない」
「絡むって……、一緒に仕事をしてるんだから」
「そうじゃなくて、陽香里を見る目が気に入らないんだよ。茜口に来てた時も陽香里ばかり見て、俺のことすごく睨んでるし」
ふいと目を逸らして、再び彼はストローを咥える。

