君と夢見るエクスプレス


橘さんとは、お昼ご飯を一緒に食べに行く約束をしているだけです。なんて正直に言ったら、橘さんが悪者になってしまう。



橘さんの言うように、外出のことを話していました。と言ったとしても、姫野さんに何を言われるかわからない。



下手をしたら、私まで怒鳴られる可能性だってある。



姫野さんを敵に回したくはない。
橘さんは週に一度しか姫野さんと顔を合わせないけど、私は毎日顔を合わせなきゃいけないのだから。席だって隣りだし、そんなの耐えられない。



「あの……、姫野さんも一緒に、皆で外出するというのはどうでしょう?」



そっと口に出した言葉は、思いのほか震えていた。



二人の視線が私へと突き刺さる。
この後の言葉が続かない。だって、咄嗟に出てきた言葉。本当は、何にも考えていなかったのだから。



「皆で? この三人で現地へ行くということか?」
「あ、はい、時間が合えば笠子主任も一緒に……、どうでしょうか?」



むっとした姫野さんと目を合わすのは怖いけど、必死に答えた。



我ながら、こんな切迫した状況でよく答えられたと思う。