君と夢見るエクスプレス


私はもう、ずいぶん恋なんてしていない。
二年前、彼氏と別れて以来。



彼とは大学で出会った。
私と同じように大学進学のため、田舎から出てきた人だったから意気投合。お互いに田舎には帰らず、こちらで就職を決めて。



いずれは……と思ってた。
付き合って五年も経てば、意識しないはずはない。現に彼と将来を話したこともあるし、疑う余地なんてなかった。



別れの原因は、私の愚痴。
就職して希望の部署に就くことができず、愚痴ってばかりいた私。



私が泣き言や愚痴を零すたびに、彼は優しい言葉や前向きな言葉をかけてくれた。同情してくれて、励ましてくれた。



そんな彼に、私は甘え続けていた。
彼だって仕事で疲れているし、悩んでいることにも気づかないで。



そして、ついに愛想を尽かされた。



別れを告げられた時、私は縋ることもしなかった。何故かわからないけれど。
今思うと、諦めに近い気持ちだったような気がする。



自業自得だ。
彼のおかげで、ようやく私のマイナス思考に少しは歯止めが掛かったかもしれない。



美波も言うように、夢は夢として割り切るしかないと思えるようにもなってきたし。