君と夢見るエクスプレス


会議室には阪井室長と笠子主任と姫野さんと私、そして彼を加えた五人。同じプロジェクトに関わるメンバーと彼という構図だ。



……ということは、まさか?



否定していた嫌な予感は、悲しくも的中してしまった。



「橘君は今、運輸営業部所属で茜口駅で駅員として勤務していますが、このたび茜口駅前プロジェクトの新メンバーに加わってもらうことになりました」



ええーっ!
ちょっと、やめてよ!



心の中で叫んだけれど、誰に聴こえるわけもなく。私は、彼と目を合わせないようにするのに必死だった。



会議テーブルを挟んで、対面には阪井室長と笠子主任と真ん中に彼。阪井室長が目を弓形に細めて、会議テーブルに肘をついた。少し身を乗り出して、姫野さんと私を交互に見てる。反応を窺うように。



「駅員の彼が、どうしてメンバーに?」



期待に応えて、姫野さんがすかさず問い掛けた。阪井室長は、待ってましたと言わんばかりの笑みを浮かべて語り出した。