とりあえず、私がさらっと書き上げた物を姫野さんが校正。私が修正作業をしている間に、姫野さんが添付資料を纏める。
連係プレイは順調で、意外にも早く作業は終了。
完成した議事録は私から姫野さんと笠子主任の承認を経て、最終承認者である阪井室長の元へ。阪井室長が承認すると、会議参加者全員へメールで発信される。
「お疲れ様、やれば出来るなあ」
姫野さんは大きく背伸びをして、満足げな表情。私も今までになかった達成感に、つい笑みが零れてしまう。
だって、この企画開発室に来てから初めてかもしれない。
今までは嫌々、渋々、仕方なく……だったのに。何だろう、この清々しい気持ちと達成感と充実感。
私、やればできるじゃない。
ここでの仕事も悪くないかもしれない。
自己満足に浸っていると、隣りで机上を片付けていた姫野さんが呼び掛ける。
「松浦さん、よかったら帰りに食事でもどう?」
思いきり笑顔の姫野さん。
一瞬、返事をためらってしまった。
先日の姫野さんのおかしな言動を思い出してしまったから。

