しかし実際のところ、電話を盗み聞きしただけで、金崎さんが首謀者だと決まった訳ではない。かなり怪しい──というだけだ。

何か、決定的な証拠でもあれば・・・

虎穴に入らずんば虎児を得ず。
こうなれば、私が調査するしかない。私が真相を究明してやる。


名探偵アカネンになった私は、翌日から活動を開始した。私利私欲のために商店街の人達を不安に陥れた罪を、キッチリ償わせるために。

調査はまずリスクの低いところから。階段下の倉庫に積まれたゴミあさりから開始。

きぼう銀行では、通常ゴミは1週間分が捨てずに残してある。銀行では時々、ゴミをあさらなければならない事件が起きるのだ。

昼休み、コッソリ倉庫に入り込んだ私は、日にち毎に分けられた透明なゴミ袋を1つずつ開けていった。可能性はかなり低いが、メモ書きが捨ててないとも限らない。

合計5袋。昼食を抜いて調べ続ける。
しかし──

「ない・・・か」
弱々しい言葉が思わず口から零れる。
スマートフォントなどの器機が発達した現在、ペーパーベースで記録を残すなんてしない。


となれば、机、通勤カバン、スマートフォン・・・

普通に考えて、机の中にリスキーなモノを入れておくとは考え難い。次はカバンか。