夜の9時頃だった。

「ほんとごめん。」

 彼が泣く、泣く。
キラキラした笑顔を、
3か月前までは向けてくれていたその顔で。
3年前、告白してくれたこの公園で。
青い、二つあるすこし古いブランコに座りながら。

「もういいから。」
 ちょっと青とオレンジの私が、微笑む。
なんでかな、私の目からは、涙が出ない。

泣いてる彼を見ながら、私は気づく。

彼を苦しめていたのは、
勉強でも部活でも友達でもなく、きっと私だと。

いや、気づいてたのに、
きっと気づかないふりをしていたのだと。

「バイバイ。元気で!」

 私の中に、オレンジがあふれて、すぐに青になる。
公園を後にして、10分かけて家に帰って、
そのままベッドに横たわる。


最後は笑顔で、女の子みたいにうまく笑えた?
いい彼女に変身できてた?


君との長い、夏の終わりのことだった。