【森崎ver.】


 俺たちが入学したころに咲いていた桜が、
見事に再現された。
何十本もの桜が、学校を囲んで咲き誇る。

俺たちも、
もうすぐ入学してくる新入生みたいに笑っていたのだろうか。

3年前は、高校生だー!って騒いでいたのに、
今日で卒業を迎えた。

時の早さに、圧倒されるばかりだ。

 桜の木の下で、落ちる桜の花びらを眺めていると、
同じ部活だった、千早が駆けてきた。

「あれ、森崎。
 柏木にちゃんと最後の挨拶できたのかよー?」

 にやにやと筒で顔を少し隠しながら、俺をからかってくる。

「したよ。
 てか、だいぶ前にフラれてますからー!
 もううっさい!」

「まぁまぁ森崎。落ち着いて。
 ほら、後輩。
 森崎に用あるみたいだぞ?」

 千早は遠くを指さした。 

「あー、あの娘か…。」
 少し前に告白してきてくれた、1年後輩の女の子。

少しブロンドがかった髪に、肩したまで伸ばした髪。

最初は、柏木みたいだからとかしか、考えてなかったたんだけど、
最近はよくわからない。

よく笑うところとか、たまに怒るところとか。
ころころ変わる彼女の表情が楽しくってしょうがない。
横にいて落ち着くんだ。

なんなく、なんとなくだけど。

「森崎も隅におけねーぜ。」
  
 俺は彼女のもとへ歩いた。
第2ボタンに手をかけながら。




恋はまわる、まわる。
ぐるぐると。