「みはる―っ! そろそろ起きなさい―!」

  ...ん? おかあさんの声にきづいて時計を見る。
  
今日は土曜日なのに...。 まだ9時じゃん。

あたしは 寝ぼけ眼で階段を下りていく。

「やっと起きたわね。」

「おはよお。 ん―、ねむい。」
あたしは、洗面所に向かおうとした。


あたしの目の前にお父さんの姿が...。

「なあ、未遥。 話があるんだ。ここに座ってくれ。」

め、珍しいな。おとうさんが真剣な顔であたしに言う。

話ってなんだろう...??

「うん。 で話ってなあに?」

「あのな、未遥。お父さん転勤が決まった。未遥の夏休みが終わったら
 すぐに行かなきゃいけないんだ。 未遥が一緒に来てくれるなら
 未遥は転校しなければならない。 それがやなら、1人暮らしという選択
 も出来るが、どうする? 」

...転校。あたしは小さい時から転校が多かった。お父さんは会社の結構偉い人らしいけど、

だからこそ転勤が多かった。

そのためクラスにも馴染めず、憂鬱な日々を過ごしてきた。

中2になって、ようやく安定した生活ができるようになって

親友だってできた。

「...また、転校はやだ。 あんな思いしたくない。」

思わずそんな言葉が出た。

「そうよね。未遥はそういうと思ってたわ。」

お母さんはにっこり笑った。

「あたし頑張る。たから、1人暮らしさせてください!!」

「わかった。けどな、未遥。1人暮らしは、思ってる以上に大変だぞ。」

あたしも前に聞いたことがある。それはわかっているつもりだ。

「じゃあ、おかあさんと特訓しようか。家事全般ができるように
 しないと大変でしょ??」

おかあさん、気が早すぎ。まだ7月の始め。

けど、家事には自信がないから 今からやろうかな。

「うん。わかった。 やれることからやってみるね。」

「がんばりなさい。」

あたしは、自分の部屋に戻ってメールをした。

親友の池内愛唯(めい)に。

愛唯は中2からの親友で、あたしのよき理解者。
  
-----------------
  夏休み明けから、1人暮らしをすることになったの。
  お父さんが転勤するから..
ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はあ―...1人暮らしか。 どんな感じなんだろう。」

すると愛唯からの返信が。
 
 ------------------
  そうなの!?がんばれ。いろいろ決まったら
  また連絡して!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

やっぱり、愛唯は優しい。頼りになるな-っ。



それから1か月たった今日は、夏休みまっただ中。

みんなは、嬉しいだろうけど...あたしにとってはホントに忙しい。

いい条件の家を自分で見つけて、家事の猛特訓。

けど今日は愛唯も手伝ってくれて家探し中。

「ねえ、未遥。ここなんてどう?」

愛唯が見つけてくれたところは、好条件!

大屋さんは、キリシマって言うんだ。

「ここ!!ここいい!」

「でしょ??星櫻までちゃりで行ける」

愛唯のおかげでいいとこ見つかった!

その物件をおかあさんたちに相談すると、OKの返事♪

やったあ!

そして、お父さんが話をつけてくれた結果...あたしはそこに住めることに!

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
   めーーい!ありがとう。おかげで決まったよ!
明日、大屋さんに会うことになったの!(*^^)v
   -----------------

「愛唯に今度きてもらおう♪楽しみ♪」
   
   -----------------
   よかったじゃん! 遊びに行かせてね♪
   あの家、場所もいいし、新しいよね
   またねえ
   -----------------

「ついに明日か...。なんかドキドキする」





「大屋の キリシマ です。」

あ,優しそうな人! 良かった。

「下里未遥です。星櫻高校の2年生です。」

大屋さんは少し驚いた顔をしたが、何も言わなかった。
   《なんだろう..気になる》

「では、親御さん。明日から家具等の移動をお願いします。鍵は、未遥さんにお渡ししておきました。」
「ありがとうございます。」
お母さんたちは、深々と頭を下げた。 あたしも、いろいろな意味を込め頭を下げた。

 


      ふふ-ん♪ これでi人暮らしか―...どうなるんだろ??