私がタクシーに乗るのを、バックミラーで確認した運転手は、少し怯えたように、ステアリングを握った。 「おい。」 彼が、運転席の窓をトントン、と叩く。 そして、やっぱり怯えたように、窓を開ける。 「……タク代だ。釣りは、彼女に渡してくれ。」 なんともスマートに、彼はポケットから札を取り出した。 どう見ても、余るような金額。 彼の心遣いに、顔が綻ぶ。 「ルーク、ありがとう。」 「あぁ。気をつけて帰れ。」 「えぇ。逢えてよかったわ。」