「蒼がいるから大丈夫、だろ?」 どうしてそう、冷徹でいられるんだ? 何で亜弥はこんなやつを好きなんだよ―――…!? 「話なんて特にないよ、俺は。 悪かったね、意味もなく呼び出して。 あと………」 立ち去り際、やつは俺の耳元で囁いた。 「ベッドに染みついてるよ? お前の匂い。 柑橘系なのが鼻についてさあ…。 寝てるとすげえ不愉快になるから帰りたくないかも」 「なっ………」 やつはニヤリと笑って、部屋を出ていった。