佐野くんは困ったように髪をかきあげた。



その仕草に、また顔が熱くなった。



「話ってさ、手島、別れ話するの?」



「ううん、違うと思う…」



沈黙が流れる。



何か話さなきゃ、話さなきゃ…………



でも、話題なんか見つからなくて。





「俺、職員室に用事あるから行くね」




その言葉で、すこし寂しくなった。



もっと一緒にいたい。



そう思った。