シンシンと静かに雪が降り積もる。十年に一度の大雪の日、ある家の窓から5、6歳の男の子が外をのぞいていた。
頬には涙の後があり、目は真っ赤に充血している。それに加えて手の甲は真っ赤に腫れ上がっていた。
男の子は、膝を抱えて座り込み、早く雪が止まないかな、というようにちらちらと窓の外を眺めた。
男の子の名前は北風光一。父親はすでに他界しており、母親とはある理由によって血が繋がっていない。そのため、よく暴力行為を受けているのだ。赤く腫れ上がった手の甲は、そのためととっていいだろう。
「光一!」
突然聞こえてきた怒鳴り声に、光一は肩をビクッと跳ね上げた。
「はい!」
悲鳴のような声で返事し、光一は慌てて立ち上がり、部屋を出ていった。
また、殴られるのかと、怯えながら…。
