「ゆ、悠梨ちゃんっ!」




「え、なに?」




美香は化粧品売り場から顔をのぞかせている。


目を異常にキラキラさせながら。



「これ!悠梨ちゃんに絶対似合うっ」






そう言って指さしたのは、ほのかに赤いリップだった。

真っ赤でもなく、ピンクでもない。


「…私いいから…「いや!私もう選んだからっ…」


そういって、強引に近くにあった椅子に座らされた。



「な、なにする…」




「お化粧するのっ…」




…お化粧…?!!


いやいやいや!!


美香が変わるために買いに来たのに何で私が化粧されるの…!!




………でも
化粧をしている時の美香の表情は学校では見たことのない自信に満ち溢れてキラキラしていた。

まあ………いっか。


久しぶりに、こんな楽しそうな美香みたし。



「わあ…やっぱり悠梨ちゃん…肌綺麗っ……」



「そう?」




私は、てっきり唇だけするのかと思ったんだけど、なぜかファンデーションを塗られて、アイラインや、つけまつげ。チークもされた。



それにしても…




「うまいね、美香」





「そ、そうかなっ…ありがとう…///」




美香は、十分に女子力があるんだ。

それを隠していたのは紛れもなく、周りの視線が原因なんだろうけど。