皆、固まってうごけない。
きっと、色々な驚きがあるだろう。
姫実のお父さんが理事長だなんて一部しかしらない。
知ってるのは、きっと私と愛梨と歩香里だけのはずだから。
「ち、ちがうのパパ…」
さっきまでの、威勢はどうしたと言わんばかりの弱々しい姫実に思わず笑ってしまいそうだ。
いや、もう愛梨は笑ってるけど。
「いいから、来なさい」
といって、理事長は無理矢理姫実を教室から引っ張っていった。
ガラガラガラ……ピシャッ
残された私達は沈黙。
唖然としているしかできない。
パンダ集団は苦笑いで「姫実のパパ理事長だったんだ」と話している。
空気が静まっているなか…
「ぷっ…」
愛梨が涙の1つもない顔で笑い出した。
「アハハハハハッ!あーイイ気味ー!アハハハハハッ!」
まだ、ボスでいるんだ。
まるで、残りのパンダ集団たちに私についてこないと同じような目に合わすよと言っているようなもの。
パンダ集団たちは、恐怖で顔が真っ青になっている。
「由来」
愛梨が突然、笑いを止め由来の名前を呼んだ。
「な、なに?」
朝の威勢はどこいった。
完全にビクビクしてしまっている。
「あんたー…………何様のつもりだった?」
そう、低い声で呟くと「今日、私帰るから」
と、教室をでてしまった。
その日は、姫実も早退をして皆ぎこちなく過ごした。