_鴒淤side_




なん、だよ…






久しぶりに学校で話せる、


と、思ったら…





なんなん、だよ…







俺はずっと、梨花だけが好きだった。




浮気なんて、一度もしていない。





じゃあ、なんでだ?




なんで俺は…





梨花に嫌われたんだ…?








"別れるね"



って言われた時、

本当は涙が出そうだったのを

必死に耐えた。






"大好きだったよ"



って言われた時、


梨花もう、俺を好きにならないな

と、確信した。





だって、

笑顔だったから。






俺の、なにが間違っていたんだ?



いつから、梨花が辛い思いをしていた?







梨花が屋上を飛び出して行くのを見て



俺は心当たりがあることに気づいた。






学校での、態度。




メールの、返信。








付き合い始めの頃、


学校で梨花といた所を友達に笑われた。



それ以来ずっと、


極力学校では

梨花と話さないようにしていた。




俺が女とカラオケに行った時、



梨花に会ったけど、

なにも言ってこなかった。



俺は、少しでも嫉妬してくれる梨花を


想像していた。




やだよ、他の人と遊んだりしないで。


って、嫉妬してくれると思ってた。




だけどそんなの全然違くて。


嫉妬するどころか、


一切その話をしてこなかった。




その時俺の中で


なにかの糸が、ぷつんと切れたように


勝手に決意していた。




"梨花を、嫉妬させる"


と。




その次の日から、


休み時間には女といるようにした。



そして、なるべく梨花には冷たくした。





メールの返信だって、


今だに一度もしたことはない。




1日に2回は梨花からメールがくる。



そのメールは、読んでそのまま、



返信をせずに携帯を閉じる。





そして、梨花の前では


頻繁に携帯をいじるようにした。




まるで、浮気をしているかのように、



他の女と遊び、メールをした。




時には電話も。






それを見ていた梨花が


あんなに悲しい顔をしていたなんて


知らずに…







「…くそっ!……」



梨花が走り去り

静かになった屋上で


俺は一人、後悔していた。





「…無理に嫉妬させようとなんて


何考えてたんだ、俺…」




_鴒淤side end_