「過去を忘れたら、“痛み”も忘れちゃうよ?」
味わった痛みなんてわからない。
でも、痛みを忘れたら、駄目だから。
「あ、お……ごめんねぇ……」
なんでかわからないけど、涙が溢れた。
記憶の底にしまっていた、忌まわしいものが蘇ってきて、言葉に詰まる。
私、別に泣く意味ないのに……
「も~、なんでなっちゃんが泣いてんの~」
気付いたら蒼に頭を撫でられていて、反対になっちってしまった。