「棗ちゃん!」
ドアを開ける前に、腕をつかまれて強引に振り向かせられる。
あ。
レオは見るからに怒っていて、掴む手に入っている力も強い。
「棗ちゃん、やめてよ。今のあいつは……」
「ねぇ、レオに謝ってもらう必要ない」
「知られたくない過去は誰にでもあるだろ!?」
「うん。でも私、過去なんて聞くつもりないから。謝るなら、蒼の口から聞きたい」
“鬼麟”の目で言えば、眉をしかめながら離れた手。