「ウィッグ、持ってきた」
ずかずかと入ってきて、手渡されたよくできたウィッグ。
「痛む?」
傷を見て眉を下げる綾は、子犬みたいで可愛い。
でも私より全然背がでかいから、子犬ではないのかもしれない。
「痛くはないよ。思い出しただけ」
私はシャツを着て、綾に向き直る。
「どうせ昨日、暴れたでしょ」
綾は申し訳なさそうに頷いて、でも、と首を振る。