肩で息をしていて、喋ることはままならないはずなのに、不敵に笑う。
「妃彩……俺は、……ゴホッ」
咳と一緒に血の固まりを吐く。
「ただ、……お前を幸せに……したかったゴホッゴホッ…………なぁ……」
あんなに憎んでいたのに、これから死んでしまう汐弥を見て、涙がこぼれる。
私を一番に心配していてくれたからこそ、手を汚させてしまった。
「どこで間違ったんだろうな…………妃彩」
「なに?」
声が震えながらも、汐弥のそばに座り、手を掴む。
その手は大きくて、だから両手で包む。
「俺のこと……憎んでも、恨んでもいい……ただ、俺はお前のこと…………」
息を吸う。
ただその言葉だけは明確にするように。

「愛していたよ、大事な妹だから」

力を失い、私の手からするりと落ちる汐弥の手。
目を閉じて、笑いながら逝ってしまった。
「……んで……なんで最期にそんなこと言うのぉ」