すごくそっくりなのに、なっちゃんじゃない。
なっちゃんは“イトコ”がいるって言ってたけど、彼女のことだったのかな。
「棗はどこだ」
修人が彼女に訊いた。
修人は、あんなにも鬼麟に憧れていたのに、本人を目の前にしても喜んだりしない。
それは、なっちゃんが絡んでいるからなのか。
「……帰った。然るべきところに、ね」
挑発するように言う鬼麟。
よくよく見れば、彼女は目の下に隈(くま)がある。
だから普通のちょっと夜更かしした女の子に見えて、彼女が全国一位の鬼龍の総長だってことを忘れてしまう。