「……しは……私は棗じゃない!もうこれ以上、私のせいであいつに傷つけられる奴を見たくない……!」
こらえきれずに落ちた涙の一滴が、頬を伝って床に落ちる。
せせら笑うあいつに、これ以上は誰も傷つけられたくない。
逃げてばかりだったくせに、虫のいい話。
「私は……私は雛菊 妃彩(ひなぎく ひいろ)。もう、篠原 棗じゃない」
捨てた名前を、色んなものにまみれた名前を、また使う。
そして、何かを言われる前に幹部室を飛び出した。