「……あなたは、俺たち全員が孤児院出身だと、知っていますか?」
小さな声で、細く語る。
今まで見たことのない倖。
それに、全員が孤児院出身なんて、聞いていない。
だから素直に驚いた。
「俺の父は、犯罪者です」
「……」
思わぬ独白に、声が出ない。
「父は母を殺しました。俺は、それを見てました。兄はそのときいなく、俺だけが見てました。血の気を失い、青白くなっていく母の様を」
淡々と口からこぼれる過去に、悔やんでいるようなうつろな瞳。
ここではなく、遠くを見ている。
「俺が、もっと、力をもっていればって、ずっと思ってました。あの瞳孔の開いた瞳が、ずっと頭から離れないんです。どうして、俺は……」