思い出せたのは、きっと、目の前の女の子のおかげ。
俺なんかよりも遥かに傷を抱えた女の子。
「なっちゃん、俺はやればできる子なんだよ」
「ふふっ、それならよかった」
俺は、泣かない。もう二度と。
変えられるかはわかんない。
けれど、何かが救われたのは確かだから。
というのは見栄なんだ。
本当は、気付いたから。
なっちゃんの瞳の奥にある、冷たいモノに。
気付いてしまったから……。

           蒼side end