静かな走行音に、続かない会話。
原因は私だけど。
出て行ったくせに、いきなり押しかけて、どういう神経してんだって思ってるよ、絶対に。
窓の外の流れる景色を視界に写しても、そういう不安感は払拭できない。
ああ、やだなぁ。嫌われたら。
「棗」
意外にも、沈黙を先に破ったのは綾で、視線を綾に移せば、彼は前を向いたまま。
声は少し低く、大事な話ってこと。