いつか空を見てみたい

「安心せい。ただのしがない運転手。誰にも言わんよ。おじちゃんに話してごらん?」

いつも話しかけられても無視してた自分の話なんてしたことなかった。

「おじさんはなんでこの仕事選んだの?定年ってわけでもないみたいですし。」

「おじちゃんは自分から会社をやめたの。仕事失敗しちゃったからね。」

なんの後悔もなさそうに清々しく話しおじさんはとても素敵な人に見えた。

「後悔しないのですか?」

「しないよ。人は必ず失敗するし辛い時もあるでも人が生きれるのは幸せや楽しみが必ず来るの思うからだよ?」

「おじさんはその時失敗してでもそれは幸せのため?」

「確かに失敗した直後は落ち込んだけど運転手をやっていろんな人に出会っていろんな悩みや愚痴を聞いてきたら思ったんだ。」

ミラー越しに私を見据えながら…

「おじちゃんの悩みなんて小さいなって!!それからだよ。」

小さい。会社をやめざる負えないくらいなのに小さい悩み…

「私には分かりません。」

「そうだね。まだ分からないだろうね。でもどんなに不幸でも必ず幸せは来るんだよ?」

そう言いながら笑った運転手さんの顔が脳裏に焼きついた。