あの様子だと、もしかしたら火元の部屋だけではなくアパート自体全焼したのかもしれない。
他の部屋の住人は大丈夫だったのだろうか。
犠牲者は、ひとりだけだったのだろうか…。
これくらい唐突に、
生きたいとか死にたくないとか、
それまでの人生への後悔だとか、考えてる暇もないくらいに…
……そうやって私も、死ぬことが出来たら良いのに……。
そんな風に思うのは、罰当たりだとは分かっているけれど。
下の川を覗き込む。
そこは闇のように真っ暗で、
仄かな街明かりが反射して、流れる水が怪しげに黒く光る。
その闇に飲み込まれて、どこまでもどこまでも落ちていく。
もう2度と、這い上がれないほどに……
「やめときなよ」
その声にハッとして頭を上げると、若い男がこちらを向いて立っていた。

