「……バカみたい」
思わずそう呟いた。
それは思わぬ火事で突然命を落とした哀れなこの男性の死に様に対してなのか、
毎日を生きにくいと思いながら生きている自分自身に対してなのか、
私が死んだらどんなニュースになって、何人の人がそれを見て、何人の人の心に残るのだろうと、
そんなことを考えていることに対してなのか、よくわからなかった。
ただ、バカバカしい。
なんだか、全てがそう思えた。
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「明日香」
廊下で突然呼び止められた。
声でその主は分かる。
無視したかったが、私はゆっくりと振り返った。
「…何か?」
「そんな怖い顔すんなよ。
お前、その、大丈夫なのか?あれから」
私は感情のこもらない目でその男をまじまじと見た。
“大丈夫”?
そう確かめないとわからないのか。
男って、そんなにも鈍い生き物なのだろうか。

