「俺だってさ、最初は信じられなかったよ。
あんまりにも突然すぎて、まさかいきなり自分が死ぬだなんて思ってなかったし、
これから仕事どうしよう、貯金もねぇし、母親には甘えられないし、そうやって悩んでたけど、
…それって全部、“生きていること前提”なんだよね。
そりゃ俺だって死ぬことも考えたことないわけじゃないけどさ…
死んだ気になってもう一回やりなおそうって、そう思った矢先だったからな…
一度でも死ぬことなんて考えた罰が当たったのかなって思ったよ」
「そんな…」
そしたら私はどうなるのだ。
罰が当たるのは私の方じゃないか。
「でもさ、何でかこうやって俺はまだここにいるわけで、
きっと神様か仏様が“最後のチャンス”をくれたんだって、
生きているうちに出来なかったこと、最後にやらせてやる、でないと成仏?させてやらねぇぞって…
多分そういうことなんだろうなって思ってさ」
そう饒舌に話しだした彼は、どこか楽しそうだった。
瞳をキラキラ輝かせて、まるで夢を語る子供のようだ。
「で、一番に頭に浮かんだのはおふくろのことで、
女手ひとつで育ててくれたのにろくに親孝行も出来なかったから申し訳ないなって…
それで、もちろん友だちとかお世話になった人たちもそうなんだけど、
パッと浮かんだのか…
明日香ちゃんのことだった」
「え…私…?」

